全国都市緑化仙台フェアの庭園出展「せんだいFeel Garden」に出展しました。
庭園テーマは「自然との共生」。
生物多様性や環境問題に注目が集まっている昨今、何が大切で守るべき物は何なのか。自然の中で自然と遊んでいた過去の時間を見つめ、小さな生き物や様々な植物が存在する事、鑑賞する方が今の庭の在り方を考えるきっかけになるよう願いを込めて作成しました。
草のかさこそという音、風に漂う花や木の香り。
目を凝らしてみれば多様な生き物が暮らす世界。
自然と遊び、自然に学んでいたあの頃の思い出。
目に見える全てがきらきらとしてて、草花や木は遊びを教えてくれる先生だった。
道具なんてなくても、自然に落ちている物が遊び道具。
どう使えばいいか、どう組み合わせればいいか。
小さな生き物を探す事も楽しい時間。
草の茂みや木々の間に出来た空間に大切な物を隠していた、自然の宝物。
今思うと特別な物はしまっていなかったが、あの頃は全てがきらきらした宝物。
過去の景色を現代から見る構成を考えました。小川を境に過去と現在を分け、過去の風景は雑木の中に出来た遊び場を設計者の思い出をふまえて表現しました。現在の風景は、パーゴラをメインに鮮やかな草花や手作り感のある花壇、雑草が生えるアプローチなど鑑賞する方が身近に感じて貰えるよう生活感を大切にデザインしました。
ガーデンのデザインには、「時間(過去と現在)」テーマの一つにあります。過去の思い出を振り返り、現在の庭の在り方を考えるきっかけになればという思いも込めています。背景に設置したフェンスは時間の流れを考慮しつつ、そこに時間と共に旅をする“風”をイメージしながら曲線を用いたデザインを取り入れました。
雑木の風景に使用した素材は実際に山から採取し。
タンポポやクローバーといった昔遊びに使われた懐かしい植物も風景の中で大切なポイントです。小川の上流は日陰(山の中)の空間をイメージし、下流に向けて日当たりの良い空間を作りました。
外周を囲う石積みやアプローチには、県内産の丸森石を使用しました。庭に取り入れやすいインセクトハウスや、剪定などで発生する枝を使った木柵などもお庭のアクセントになっています。
いつからだろうか。
草花や生き物を楽しむ時間が減ったのは。
いつからだろうか。
自然との触れ合いを忘れてしまったのは。
ー庭の手入れは大変だー
ーこのご時世に庭を楽しむ余裕はないー
ー今を生きるのに精一杯だー
だけど、たまには肩の力を抜いて草木を見る時間があってもいいんじゃないだろうか。
楽しかったあの頃を懐かしむ時間があってもいいんじゃないだろうか。
上手くは出来ないかもしれないけど、あの頃大好きだった草木を育ててみてもいいかもしれない。生き物を観察する時間を作ってもいいかもしれない。
小さなことでいい。
大切なあの頃の風景を守るために時間を使ってもいいんじゃないだろうか。